現代都市から失われゆく風景がある。社会や技術の変化により、いつのまにか消えてゆく街中のモチーフ。
例えば「電話ボックス」「給水塔」あるいは昔ながらの「低層団地」などだ。
都市の怪談は、その舞台となった場所のイメージが重要だ。
「夜中に灯る電話ボックス」や「古い団地の廊下」が消えるのは、それにまつわる怪談が消えていくことでもある。
「踏切」もまた、失われつつある都市風景の一つだ。
安全のため、往来をスムーズにするため、踏切を廃止しての立体交差化があちこちで進んでいる。
事故多発スポットとして名高い、二つの踏切
JR中央線は、昔から人身事故が多いことで知られている。
その中でも事故多発スポットとして有名だったのが、西八王子と武蔵小金井にある某踏切だ。現在はどちらも姿を消している。
西八王子踏切の事件
例えば西八王子の踏切については、こんな話が伝わっている。
自殺の名所だったこの踏切で、一人の男が電車に飛び込んだ。
衝撃で体がバラバラになるという悲惨な死に方だったが、なぜか頭部だけがどこにも見当たらない。
後日、それは線路脇の高校のプールにて発見された。
切断された勢いで飛んできた生首が、ぷかぷかと水上に浮かんでいたのである。
それからというもの、水泳中の生徒が溺れるなどの怪現象が続出したため、プールは撤去されてしまった。
だから同校には、いまだにプールが設置されないままなのだという。
八王子市民なら誰もが知るメジャーな怪談……というより都市伝説である。
もっとも、これほどの事故なら(規制のゆるい昔なら)報道されているはずだが、いくら探してもそれらしき記録は出てこない。
踏切で事故が多発していたこと、その学校にプールがないことは事実にせよ、当該エピソードは事実無根のデマに過ぎないのだろう。
「深夜になると、あそこに首のない人影がぼうっと立つ、なんて噂がありますね」
現在そこは踏切を撤去し、跨線橋がかけられたため、往時のような事故・自殺は解消されている。
現在は厳重なフェンスやボードで囲われており、線路内に立ち入ることは不可能だろう。
そこでふと、乗ってきたタクシーの運転手さんから「線路の奥をよく見てください」と声をかけられた。
薄闇に目をこらすと、線路の向こうに、かつての踏切の残骸がひっそりと佇んでいるではないか。
「深夜になると、あそこに首のない人影がぼうっと立つ、なんて噂がありますね」
なるほど、現在のロケーションに合わせて、怪談も更新されているようだ。
ただしひどくおぼろげな、記憶の残像を見ているような怪談ではある。
武蔵小金井駅…轢かれたはずの人間が消失する「開かずの踏切」
武蔵小金井駅そばの踏切もまた、人身事故が多発する場所だった。
もっともそこは日本有数の「開かずの踏切」だったので、自殺よりも線路内に取り残されての事故の方が多かったかもしれない。怪談の噂についても、「人魂や怪しい光が浮いている」という些細なものばかりではあった。
むしろ有名な「幽霊騒ぎ」は、この開かずの踏切が消え、高架化された後に起こった。
2019年3月、運転士が「ホームから線路に飛び込んだ人を見た」として、特急あずさ33号を緊急停止させた事件だ。
ネットニュースなどで大きく扱われたため、地元民以外にも広く知られることとなった。
人身事故が起きたと思いきや、轢かれたはずの人が消えている……。
こうした鉄道の「幽霊騒ぎ」は、実はあまり珍しいケースではない。日本全国であれば、報道されているだけでも数年に一度の割合で類似事件が発生している。
ただ興味深いことに、武蔵小金井駅では高架化前の2000年代半ばにも、同じ騒ぎが起きているらしいのだ。
15年前の事件
Kさんという人から興味深い情報をうかがった。
2004年か2005年のことだという。
午後11時40分頃、 Kさんの乗った電車が「お客様が飛び降りたため」のアナウンスとともに、武蔵小金井駅で緊急停止。
しかしいくら捜索しても、周辺には人影一つ見当たらない。
それだけでも奇妙だが、なんと翌日また同時刻・同駅で「線路上の人を見て電車が緊急停止したが、捜索しても無人」という事態に出くわしたというのだ。
2019年のニュースを見たKさんは、「あの時の幽霊が、また現れたのかも」と思ったらしい。
心霊現象ではない可能性も
ただ、これは心霊現象ではない可能性も高い。
鉄道の「幽霊騒ぎ」で消えた人物については、その後の調査や監視カメラの確認で、「実際に生きた人間が線路上に落ちたのだが轢かれず、その後に逃げ去っていた」と判明するパターンも多い。
当時の武蔵小金井駅ならば、開かずの踏切で立ち往生した誰かが、間一髪で衝突をまぬがれ、そのまま逃げたとも考えられる。
真偽のほどはともかく、こうした出来事を人々が「幽霊騒ぎ」と見ること自体が重要なのだ。
Kさんの体験もSNS時代であれば、即座に怪奇ニュースとして拡散されていただろう。
「境界」が魔を生み、怪異が生まれる
よく指摘されることだが、怪異とは「境界」で発生するものだ。
橋の上や夕暮れのような、あちら側でもこちら側でもない空間・時間に、魔が生じる。
踏切はまさに「境界」の典型例だ。
その中で立ち止まるものなどおらず、人々はただ、いそいそと線路を横切っていくだけ。
ただ通過するためだけの、どこにも属さない空間なのである(なにしろ留まれば死に繋がってしまうところなのだから)。
跨線橋や立体高架と違って、いてはいけない境界上に人がいる。
当たり前すぎて気づきにくいが、踏切とは、そうした危ういバランスで成立している場なのだ。
だから飛び込み自殺や、線路上に取り残されることでバランスが崩れたとたん、たちまちそこに怪談が生成される。
冒頭で述べた通り、こうした境界の場とは、経済効率としては無駄な余白なので、都市の発展につれて排除されていく。
参照元 https://news.yahoo.co.jp/articles/41821d64df35049dcca55ac90f818d3314ca5501?page=1
みなさんの声
今でも、警笛の音と運転手の叫び声、車輌がゴトンと跳ねた感覚忘れられない出来事です。
あまり思い出したくないケドネ。
こう云う記事を見ると蘇ってしまう。
大量の警備員が配置され、人件費よりホームドアを設置した方が長期的に安くつくので総武快速で一駅だけホームドアがつきました。
ホームドアがついてからは起きていないようです。
茅ヶ崎駅のが有名では?
確か、運転手もホームにいた人も、線路で遊んでいた子供を轢いたのが見えたはずだけど、子供は全く見つからなかったとか言うのが新聞にも載っていたような(>_<)
心理学の先生の話だと、オレンジ色の電車は自殺を誘発しやすいとか…
最近はどうだか知りませんが、当時は圧倒的に国立の弁天踏切での飛び込みが多かっですね。
ドライバー達の間で幽霊話としてのぼらないのは歩行者専用の踏切だった為です。
心霊関連の書籍なんかでも紹介されていたと記憶しています。
中央線沿線の高校に通っていたから総武線東中野駅の衝突事故も目の前で見たし,過去2桁の数の人身事故を目にしてきた。
その惨憺たる現状は見るに堪えないし,事故処理をする人たちの苦労も見てきたから意図的な飛び込みは本当にやめて欲しいです。
電車に飛び込むって事は、黒い電車にしようとしてるのか?
何だろ。止めてほしい。
人身事故が多かった時期と当時の主力車両201系の引退時期が被ったせいか人身事故で飛び込まれて痛々しい姿のまま急遽引退の車両も有りましたね。
三鷹駅前が再開発される以前は、南口側のやや吉祥寺寄りの線路沿いに、旧くからのふとん店がありました。その木造の旧店舗に、三鷹事件の無人列車が暴走して突っ込んだとの由です。幸いにして、死者ゼロで、事故当時の若いお嫁さんが後に同店の名物お婆ちゃんとなって、三鷹事件の生存者(?)として幾度も取材を受けたと聞き及びます。こちらは自殺騒ぎとは別で、結果としてはハッピーエンドな逸話ですが、東京の中央線ついでにご紹介いたしました次第です。
だとしたら、地図を見る限り運転士からは視界に入る踏切ですね。
急に踏切に進入して来てブレーキ間に合わず、という事ですね・・・・。
御命御大事に。
割とこの手の話は多い。
磁場が狂ってるとかいう説もあったし。
やっちゃいけないことを戒めとして伝わっているような内容でもない。
怪談話としてまた亡くなったと人を冒とくしなければいいと思う。
生首がそんなに飛ぶとは思えないけどなあ。
どこかの首塚で何百キロも生首が飛んできたことがあった伝えもあるが。
越して数年後にそこを通りかかると花があった。自殺の事情は知らないが、そうやって弔ってくれる人が周りにいたのになぜ飛び込んだのかと思う。
八学(だよね、場所的に)のプール云々も知りません。
ただ25年前に京王線の先頭車輌でおじいさんが飛び込んだのを見ちゃいました。駅は百草園、特急なので通過駅ですね。
隣のOLさん腰抜かして立てなかったのを覚えています。
水泳の飛込みみたいに手を前に出して・・怖かった。
高幡不動に止まって最初に駅員に言われたのが、飛び込んだのを証明してくださいでした。
運転手さんも淡々としていたのを良く覚えています。
まあ、なんにしても命を粗末に扱わないで欲しいですね。
高校生の時、よくここで飛び込み自殺があり、ある夜中に『うちの娘見ませんでした?』『今飛び込みがあったのですがこの赤い靴は見覚えありますか』『あー…(叫び)』とゆう声を聞いたこともあり怖くて眠れなかったこと覚えています。
飛び込んだ後の姿を目の当たりにしたこともあります。
カーブしているので飛び込み易かったのでしょうが、今はそれが出来ないようになっているのでホッとしています。
また、人身事故を先頭車両で前方を見ている時に目撃しました。
あと、土砂崩れが発生して、八王子あたりの山かなー、と思ったらまさかの四谷辺りでした。
中央線はおもいれ深い路線です。
俺ちゃんの聞いた話によるとバラバラになった身体の腕の部分がプールに落ちて、プールに入る人間は水底に引きずり込まれると聞いたけど、違う地域だな。
なんせ、開かずの踏切で、待ち時間があまりに長すぎて、渡ろうとする人間があまりいなかったし。
ちょっと面白い。
高い位置になってるのに迷わず出られるのか?
とか考えちゃうな。
特に、通り過ぎてバックミラーに映った瞬間、特になにもないのだけど、ぞくっとしたのを覚えてる。
電話ボックスなんか絶滅危惧種やし。
せやけどあの古臭い感じが怖かったんよね。
そんな話を、聞かせてくれました。
中学時代に「恐怖の味噌汁」と同時によくクラスで言い合っていた。
保健体育のA先生。
もう退職されてるんじゃないかな。
それとも多摩科学技術高校?
件の都市伝説は一年生の頃知りましたけど、心霊現象的な事は何も起こらず…
まあ当時は自殺者のせいでプールの授業が出来ず、女子のスク水が拝めないなんてふざけんな!って思ってましたね。懐かしいです。
柳川藩は、江戸時代
豊臣秀吉や織田信長くらい
刑罰が、すごかったと聞く
ただ、自ら選んでこういう死に方をした人の霊が、なぜここに、という感がある。本来は自分を死に追いやったひとの前に…
なのだろう。
逆に、現世に未練を残すなら、鉄道自殺など選ぶべきでは…
近くに某宗教団体の支部があり、裏切り者が処分されると噂されていた。
北野誠さんの心霊動画、ラジオ配信を楽しく視聴しているが、廃墟や心霊スポットが無くなると幽霊は何処に行くんだろうと言ってたな。
不思議な世界だ!(笑)
「おーい、アタマ見つかったか?」
「右腕は線路際にあったぞ」
「下半身は、そこだ」
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コメント欄がてんこ盛りだった
あんな痛みを経験した事もなく言葉を出す事も出来ませんでした。旦那の声は聞こえてるのに痛すぎて声が出せないのです。
線路外に出た瞬間に痛みは嘘のように消えました。私は八王子に行ったのが初めてだったのでプールの話も知りません。旦那は八王子の人ですが私の苦しんでる姿を見て怯えていました。都市伝説的な話で実際には事故が無かったとしたら、私の経験はなんだったのだろうと今でも踏切を渡る時は1人で怖くなります。
管理人の率直な感想
JR中央線はガンツのような人身事故がたまに起きます。
僕は当サイトとは別に「人生パルプンテ」というサイトを運営していますが、そっちで2019年3月に起きた武蔵小金井駅人物消失事件を取り上げています。
ホームから人が線路に飛び込み、電車が非常停車。
しかし飛び込んだはずの人物が忽然と消えてしまったのです。
運転士も人の飛び込んだ姿を目撃しており、ネット上では幽霊ではないかと物議を醸しました。
本当にガンツのような事件でした。(事故かな)
ただでさえ中央線は人身事故が多い。
怖い話ですが、もしも不思議な力が働いていて呼び込まれたのだとしたら悲しい話でもあります。
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