享和3年(1803年)、常陸(ひたち)国(茨城県)の海岸に円盤のような乗り物が漂着し、その中から見慣れぬ服装の美女が箱を抱えて現れた。
言葉は通じず、舟の中には謎の文字が書かれていた―江戸時代のさまざまな文書に記された「常陸国うつろ舟奇談」の背景には、実際に不思議な漂着事件があったのか。
岐阜大学の田中嘉津夫名誉教授は、長年「うつろ舟」研究に取り組んでいる。
専門の光情報工学とはかけ離れた研究になぜ取り組むようになったのだろうか。
【日本人とUFO】江戸時代に全国各地で「うつろ舟」の伝承が
江戸時代には、全国各地に似たような「うつろ舟」(「うつぼ舟」とも呼ばれる)伝承があった。
田中氏が研究対象としているのは、1803年 (日付は資料によって異なる)、常陸国の浜辺で起きたと記し、美女と奇妙な乗り物の絵図が描かれたいくつもの古文書だ。
中でも『南総里見八犬伝』の作者、曲亭馬琴が文人サークル「兎園(とえん)会」で集めた風変りなうわさ話を記録した『兎園小説』(1825年)や長橋亦次郎(またじろう)による『梅の塵(ちり)』(1844年)が早くから知られていた。
その他『鶯宿(おうしゅく)雑記』『弘賢(ひろかた)随筆』、日本に漂着した異国船や国外へ漂流した日本人の記事などを記録した『漂流記集』などがある。
UFOじゃない?様々な仮説
最初はロシアの捕鯨船の海難事故が脚色されて伝わったのではないかと仮説を立てていたが、該当しそうな海難事故を記録した公文書は見つからない一方で、次から次に新しい資料が見つかり、さまざまな背景を探ることにのめり込んでいった。
これまでに常陸国うつろ舟伝説の関連文書は11種類見つかっているが、その中に特に興味深い仮説に結び付く二つの文書がある。
ともに事件が起きた1803年の記録だとされている。
水戸文書
一つは、茨城県水戸市在住の古文書収集家が所有する「水戸文書」だ。
田中氏は絵図の女性の衣服が、茨城県神栖(かみす)市の養蚕信仰の寺、星福(しょうふく)寺の蚕霊(さんれい)尊の衣服に似ていることに気付いた。
もともと茨城県には養蚕の誕生にまつわる「金色姫伝説」があり、星福寺の仏像も金色姫をモチーフにしている。
天竺(てんじく=インド)から繭の形をした丸木舟に乗った姫が常陸国に漂着し、面倒を見てくれた地元の夫婦への恩返しに、養蚕の技術を授けて昇天したという言い伝えだ。
これまでに見つかっている11種の文書に描かれた女性の衣服には違いがあり、金色姫との関連を強くうかがわせる描写は「水戸文書」のみだという。
鹿島灘でうつろ舟のうわさが出た時に、当時の星福寺の人たちが寺のプロモーションに利用した可能性があると、田中氏は考えている。
甲賀忍者が記した具体的な漂着地
もう一つさらに重要なのは、甲賀流忍術を受け継ぐ忍術研究家・武術家、川上仁一氏が保有する「伴家(ばんけ)文書」だ。
他の文書では漂着現場を「小笠原越中守(えっちゅうのかみ)の知行所」として、「はらやどり」浜など、特定できない地名を記しているが、同文書では「常陸原舎り濱(ひたちはら・しゃりはま)」という実在の地名が記されていた。
伊能忠敬が1801年に測量し作成した地図、「伊能図」に記載された地名で、現在の茨城県神栖(かみす)市波崎舎利浜(はさき・しゃりはま)にあたる。
「他の文書には矛盾があって、そもそも小笠原越中守の領地は鹿島灘周辺にはありません。
ところが、『伴家文書』には小笠原の名前はない代わりに、実在の地名が載っている。
川上先生に聞くと、伴家(甲賀忍者)が仕えた尾張藩主の参勤交代のために情報収集をしていたのではないか、という見立てでした。それならうそは書けませんから、文書の信ぴょう性は高いと言えます」
作り話か否か
かつて民俗学者の柳田国男は、うつろ舟伝説は全て根拠のない作り話だと断じた。
「でも、常陸国のうつろ舟の話は、全国各地に伝わる話とは明らかに違います」と田中氏は言う。
「まず、1803年に起きたと特定していること。そして、全ての文書で円盤に似た乗り物を具体的な絵図を描いて説明しているのが不思議です。何か実際の出来事に基づいている気がします。ただ、鎖国中ですから、もし外国船の難破や外国人の上陸があったとしたら大事件で、役人が調べて公文書に残すでしょう。実際、1824年、大津浜(北茨城市)にイギリス人が上陸する事件が起きて、翌年の異国船打払令の一因になりました。ですから、ひょっとしたらほんの短時間、鹿島灘の海岸で何かの目撃情報があったのかもしれない。それが以前からのうつろ舟伝説と結びついた可能性もあります」
円盤の形状や大きさ
文書によって女性の衣服が違うように、円盤型乗り物の形状や大きさも違う。
例えば『漂流記集』によれば、乗り物は高さ1丈1尺(約3.3メートル)、幅3間(約5.4メートル)、本体は紫檀(しだん)と鉄製で、ガラスや水晶の窓がついている。
「『漂流記集』が公文書なのかどうかは分かりません。全部で2巻残っていますが、うつろ舟以外は、ほとんど実際に起きた事件です。少なくとも書いた人はうつろ舟の漂着が本当に起きた事件だと判断していたと思われます」と田中氏は言う。
船の中の謎の文字
うつろ舟を巡る謎は尽きない。
特に、舟の中の謎の文字は何を意味するのだろうか。
「江戸時代の浮世絵に見られる『蘭字枠』(絵の周りに描かれた文字の飾り枠)に似ているという説もあるので、単なる装飾の可能性はあります。もちろん、宇宙人が使っていた文字だという証拠が見つかる可能性もゼロではない」と言って、田中氏は笑う。
「今後も、それまで知られていなかったうつろ舟関連文書が見つかって、新発見があるでしょう。さまざまな仮説が立てられることが、この伝説の魅力です。UFO伝説が生まれる140年以上も前に、日本にこんなにも想像力を刺激する伝説があったとは。日本の歴史・文化の豊かさ、面白さを改めて感じます」
参照元 https://news.yahoo.co.jp/articles/607e1911761b6511af2191f62a63b2bbb7ff13d0?page=1
みなさんの声
6/18(木)13:34
6/18(木)18:50
6/18(木)18:21
6/18(木)15:07
6/18(木)13:55
6/18(木)15:19
6/18(木)16:29
密貿易船が存在し、それが難破して日本に流れ着いたのであれば、公文書にも難破の事実は残り難いだろう
それにうつろ舟の目撃情報は、複数存在する。
証言も共通点が多いからな
本当に宇宙人だったとまでは言うつもりはないが、何らかの史実があったのではないかと推測はできる
きちんと時代の背景などを踏まえて考証していますし、
「うつろ舟」の具体的なサイズやガラスがはめ込まれた窓の形状など、
具体的な記述が掲載されていてリアリティーが伝わって来ます。
我々現代人なら「UFO」という誰もがテレビや映画や雑誌等で見たことのある物を連想することでしょうが、
当時、しかも鎖国中の日本人からすれば「まったく理解不能な物」だったでしょうね。
宇宙人どころか外国人すら見た事がある人は少なかったはず。
記述のような人(?)が現れても「これが噂に聞く異人だべか?」くらいの反応が精一杯だったかも知れません。
「UFOや宇宙人は居るはず」とか、
「居てほしい」(願望)
「居ると考えた方がロマンがある」
などの否定派に対して説得力に欠ける記事とは一線を画していると思います。
正体は一体何だったのでしょう?気になります・・・!
6/18(木)15:16
個人的には、現地球人類の前に太陽系に知的生命体が存在していたのかも知れないと思うけど、沖縄の海や世界の海に眠る遺跡や地上の遺跡すら解明出来ていない事だらけなど、人類から消し去られた記憶は、どんなものだったのだろうか。
この事件の面白さは、円盤に乗っていたのが、いわゆるグレイではなく、人間型の宇宙人だということ。しかも彼女は、黒髪の東洋系。また彼女が来ている服装も当時の日本はもちろん、他の国でも無かったような格好です。
ただ、この事件の不可解さというか、残念な所は、その後どうなったのかの記述が無いこと。海岸に謎の美女と乗り物があって、暗くなったので皆んな帰ろう、となるのだろうか?この女性が再度乗り物に乗って、どこかに消えたにせよ、別の乗り物が現れ、円盤ごと消えたにせよ、その後どうなったのかの記述が何故無いのか?
この舟の様相からするとUFOと解釈するのは難しいかも知れませんが
墜落するUFOからの緊急脱出舟なんて解釈はありかも知れません
奈良や平安の頃から空に不思議な光る物体や馬が浮かんでいた記録はありますね
家康は江戸城で肉人と呼ばれる正体不明の人物と会った記録もある
ロマンある歴史ミステリですね
空飛ぶ円盤のようなものを想っても不思議ではない。
竹取物語のように月に人が存在する物語や妖怪、もののけの部類も最たるもので、きっと現代よりよほど豊かな分野だったのでは。
6/18(木)15:03
6/18(木)12:59
6/18(木)15:09
どこが科学なのか、どこは川口浩探検隊バリネタなのかを知るのも、意味あることかも。
しかし描かれている人物が金髪碧眼や外国人風では無くてアジア系の人物が描かれているのも面白い
大陸やアジア方面から流れ着いた者なのか日本のどこかから流れ着いたのか
紐解いたら海流しにされた罪人とか海神に捧げる人柱的な者だったとかもあるのだろうか
同時期位の諸外国の風習とか記述にはこのうつろ舟に似た物は無かったのかな?
6/18(木)18:03
6/18(木)14:30
6/18(木)16:40
ましてや翼の無いものなんて現代でも無理
しかし、中から出てきた人は、どう見ても地球人
地球人で間違いないだろう
ただし、俺も2004年は見たことあるから、UFOの存在は否定しない
よくテレビ出でてくるような、ポツっとした青白い光だったね
地球には200年の違いが、かなりの文明の差になっているだろうが、UFOは昔の人でも、現代で見るようなものを見ていたんじゃないの?
こんな、どんぐりみたいなものでなくね
昔の人が、どんなUFOを見ていたのか気になるね
6/18(木)14:43
CSの番組でも取り上げられていましたが、やはり古代の宇宙人と言ってました。
当時の鎖国を考えると、面倒が嫌な役人は殺して穴掘って埋めたかも知れません。
6/18(木)14:11
科学で証明できるとか否定派はすぐ言い出すけど。
全部嘘とかフェイクだなんて決めつけはよくないですよ。
人間が知らない事はまだまだあるはずです。
白か黒か、嘘か本当かなんてロマンがない。
「うつろ船」の内容が世間に知れ渡ったのはオウム事件のはるか前に雑誌「UFOと宇宙(コズモ改名)」だったと思います。
窓は「チャン(松脂)」で作ってあったとか、発見した地元民がお上に知れる前にまた沖へ流したとか書いてあったと記憶しています。
6/18(木)17:03
他の人が描く絵を見ると、絵ってこういう物って勝手に刷り込まれるのかな?
6/18(木)17:32
6/18(木)15:06
6/18(木)13:40
文書がある=真実とは限らない。
6/18(木)18:47
6/18(木)14:43
ミステリーはロマンと口論を生む。
6/18(木)16:38
今だって地球外生命体と疑わしいものが飛来しているのだから19世紀初頭に来ていたとしても不思議はない
しんあな!
6/18(木)16:55
場所的に波崎は千葉県と接している(県境越えた銚子は千葉一族の領分)ので、もしかしたら両伝説には何らかの関係があるかも…
6/18(木)16:37
6/18(木)18:45
6/18(木)15:21
それはそれで凄くないかなぁ
6/18(木)16:37
村人は“気持ち悪いから”、再び海へ戻したそう…残念です。
衣装や文字?を見ると、どこか見覚えがあるような…
うつろ舟から降り立った美しい女性は地上から連れ去られ再び戻された女版「浦島太郎」だ。
浦島太郎も「亀」に連れられ竜宮城へ行きしばらく滞在して帰ったらとんでもない年月が流れていたわけだから似た様な体験をしたんだろう。
6/18(木)17:28
6/18(木)14:52
信じるか信じないかは、あなたしだいです!
6/18(木)16:14
昔から世界中でUFOはかなり目撃されていたんでしょう。
6/18(木)13:23
6/18(木)17:03
高度な文明持っていて人間が想像する通りの宇宙人やUFOが存在する可能性と、文章が現代に偽造された可能性なら圧倒的に後者が高いと思います
ましてや出所がオウム関連…
6/18(木)14:53
6/18(木)17:02
正直、この女性とUFOの絵は故石森章太郎が何度か紹介していたから,知っていたがロマンが満載で詳しく知りたいと感じる。
6/18(木)18:35
6/18(木)14:12
6/18(木)14:45
女性はたぶん金色姫伝説。それと組み合わせたのは曲亭馬琴臭い
円形の船はどう考えても当時の日本人には想像できないと思える
美女と言うのもロシア系なのかな?
当時の美女は今とは違うから、ヤマト系なのかな?
中華系?
ウイグル系?
謎は深まる
6/18(木)12:39
6/18(木)13:55
6/18(木)15:04
こういうのって真実は意外とつまらなかったりするもの。
6/18(木)15:32
何より、わくわくして面白い!
昔、読んで知っている記事が殆どだけど、何度、読んでも面白いし興味が湧きます!
竹取物語とか浦島太郎伝説とか、案外日本の昔話にはSF要素が強いものがある。
6/18(木)13:36
6/18(木)14:52
6/18(木)15:00
6/18(木)12:39
古代文明や先住民族に、UFOや宇宙人らしき記述や伝承が多く残っているが、フィクションを創造することは、人間としての資質なのだろう。
後、幽霊や魔の物、死後の世界とかも古代から世界共通の発想。
6/18(木)15:36
6/18(木)15:50
6/18(木)17:41
6/18(木)16:14
6/18(木)16:38
6/18(木)16:45
6/18(木)15:00
そっちが気になっちゃって
6/18(木)20:03
6/18(木)19:33
6/18(木)16:30
6/18(木)19:23
美女ってあたりでおかしい。
6/18(木)12:42
6/18(木)12:23
6/18(木)15:31
6/18(木)15:06
6/18(木)15:18
6/18(木)13:09
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6/18(木)15:33
6/18(木)14:31
6/18(木)15:46
6/18(木)15:25
6/18(木)13:52
6/18(木)14:24
6/18(木)13:06
6/18(木)16:43
6/18(木)16:43
別に宇宙人とかではなく、「ア」の世界の住人の1人。
「ア」の世界は「亜」の世界であり、この世界のすぐ隣に実在する。
彼らは紀元前に民族ごと移住したのだ
宇宙人なのかデブなのか。
6/18(木)17:01
6/18(木)14:46
6/18(木)14:30
6/18(木)15:44
6/18(木)17:09
6/18(木)12:36
管理人の率直な感想
ロシア人説。
確かに美女が多いですが、当時の日本人がいきなりロシア人女性に遭遇したら「面妖な者」として捉えるんじゃないでしょうか。
そこで浮かんだのがアジア人。
中国人とか韓国人とか。
でも、常陸国のうつろ舟は茨城だから太平洋側なんですよね。日本海側ではない。
宇宙人・・・ではないような気がするけど、何か得も知れぬ存在であることは確かです。
少なからず意見があるように、作り話ならもっと壮大なオチがあっていい。
タイムトラベラー説を僕は推したい。
当時の日本人は、今のように科学に精通しているわけではなく、UFOという概念もなく、そういった意味で純朴だった。
接触する際に、特にこれといった凝った小細工をしなくてもいい。と思う。
うん、タイムトラベラーじゃないかな。
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