発覚から半世紀以上がたつ “昭和の食中毒” ──カネミ油症事件。
今も国による初の次世代への健康影響調査が続いています。
ベトナム戦争の枯葉剤にも使われた“猛毒”が食用油に混入し、流産や死産、色素が沈着した“黒い赤ちゃん”が産まれるなど、深刻な健康被害をもたらしました。
壮絶な差別を受ける中「なぜその油を口にしてしまったのか」と自分を責め続ける母親もいます。
事件から54年経った今もなお、顔を出して訴えることもできない深刻な被害は続いています。
54年経っても分からない被害の全体像
長崎市の観光地でもその油は売られていました。（※現在、油店はありません）
油症認定患者 宮本 春子さん（仮名）:
「（買ったのは）新地（中華街）ですね。今もあるか分からないけど…油の卸屋さんがあって。そこで買ったんですよ」
事件が発覚したのは1968年。
福岡県北九州市に本社を置く『カネミ倉庫』製造の油を食べた人達が、吹き出物やしびれ、めまいなど全身の不調を訴え出ました。
西日本の24都府県で1万4,627人。
事件を知らなかった人、届け出なかった人も相当数に上り、54年がたった今も被害の全体像は分かっていません。
油症認定患者 宮本 春子さん（仮名）:
「味とかも全然変わらなかったから…何とも思わなくて。子供の吹き出物、私は顔に…。酷かったんですよ。ニキビの痕のように（ボコボコに）なって。
（医師に）『カネミじゃないでしょうかね 私達も?』と言ったら『いやカネミはこんなもんじゃない。それは違う』と言われた」
“黒い赤ちゃん”に対する強烈な負の印象
油症認定患者の宮本 春子さん（仮名）は当時30代──
夫と子ども2人の4人家族で、油を食べ 体に異変が続出しました。
最も症状がひどかったのは、油症が報道されてから半月後に生まれた“赤ちゃん”でした。
油症認定患者 宮本 春子さん（仮名）:
「ちょうどぶどう色の様になってたんですよ。もうとにかく何とも言えない。びっくりしました。
産婦人科の先生に『こんな子ども見たことありますか?』（って聞いたら）『いや初めて見ました』って言われて。
先生もびっくりして『（子どもの性別は）どっちやったですか?男ですか?女ですか?』（って尋ねると）『まあそれはゆっくりしてからよかろう』と。
口にも出されない様な状態やったんですよね…先生も」
油に混入していたのは『PCB』という化学物質が熱変性してできた『ダイオキシン類』──ベトナム戦争でアメリカ軍が撒いた『枯葉剤』にも含まれる猛毒です。
ダイオキシン類は胎児にもその一部が移行し、流産・死産が多発 ──。
当時生まれた赤ちゃん達には、ダイオキシン類が引き起こす“色素沈着”が多く見られ『黒い赤ちゃん』と呼ばれて、世間に強烈な“負の印象”を植え付けました。
油症認定患者 宮本 春子さん（仮名）:
「（黒みは）自然に取れはしましたけどね。今は普通の肌色ですから。
もう本当に（子育ては）思い出したくもない、口にも出したくない…。
夜中に大学病院に走りこんだりとか…病院じゃないと助かってない。生きるか死ぬかの瀬戸際を成長してきた」
結婚・就職での差別恐れ「次世代への影響は調べてもらいたくない」
“ぶどう色の肌”で生まれてきた宮本さんの子供はいま結婚し、家庭を持っています。
でも、その家族に油症のことは話していません。
全国油症治療研究班によると『一度体内に入ると生涯抜けない』ことが分かっているダイオキシン類。
国は2021年から初の『次世代への健康影響調査』を進めていますが、宮本さんはこの調査に参加するつもりはありません。
油症認定患者 宮本春子さん（仮名）:
「二世・三世を認定するかどうかありますね…。ちょうど私達にすれば“孫の世代”が、受験、結婚、就職と一番“大事な時期”に入ってる。次世代のことをあんまり私としては調べてもらいたくない、と言うのが本音ですね。
“自分を責める気持ち”が一番ある。自分が（油を）買ったばっかりにそういう被害が出てるんですからね。誰のせいでもない、自分のせいでしかないわけなんですよね」
先生からも石を投げられ…壮絶ないじめ 差別は就職してからも
油症認定患者 山口美穂子さん（仮名）:
「“ばい菌”みたいな扱い…」
山口 美穂子さん（仮名）は、小学生の時 汚染油を食べ、壮絶ないじめにあいました。
油症認定患者 山口美穂子さん（仮名）:
「机を分けろ、みたいな感じになって。距離を置かれて。先生も一緒になって生徒も小石を投げつけて『出ていけ!』みたいな感じで。それが毎日繰り返された…辛い…」
“感染する”という『誤った認識』も広がっていた油症 ──
差別は、就職してからも続きました。
油症認定患者 山口美穂子さん（仮名）:
「（弟が勤めていた）食品関係は 衛生的にカネミ患者はダメって追放されて。
（自分が勤めていた）病院の先生からも “家族もみんな油症だから雇うわけにはいかない”と。カネミとはそういうもんだと言われました。
「こんな感じ（膝下のただれたように割れた皮膚）なんですよ。これが子ども達にもある…」
冬の夜の海で子を背負い「お母さん冷たい。どこにいくの?」
多くの被害者がいま、子や孫にも“原因不明の異変”が出ていると訴えています。
皮膚疾患、倦怠感、先天性の異常──。
しかし、“油症との因果関係”を科学的に証明することは難しく、発覚当時の混乱期を除いて、油症と認定された次世代はほとんどいません。
油症認定患者 山口美穂子さん（仮名）:
「（子どもの）体の状態が、自分と全く同じなんです。『恨む、恨む、お母さんさえ食べてなければ』（と言われる）。
娘には（先天性の）“副乳”がある。孫にも…それが一番堪えた。
楽になりたいって…疲れてしまって。
（子どもを背負って）夜の冬の海に入って行った。
子どもから『お母さん冷たい。どこに行くの?』と言われてハッと気づいた。
海の中に入っていました。主人にも言えなくて。
なんで生きているんだろうって思って。子供たちにも申し訳ない。孫にも」
『自分が油を食べたせいだ』絶望と恐怖が、被害者を追い込んでいます。
油症認定患者 山口美穂子さん（仮名）:
「助けて下さい。なんとか…。
どうやって被害者の認定を決めているのか分からないけど…“せめて（子どもを）認定して頂けないでしょうか”って言いたい」
油症の認定は全国油症治療研究班の診断基準を元に、各都道府県が行っています。
認定されれば、加害企業に医療費を請求できますが、今の基準で認定される次世代被害者は“ほぼいない状態”です。
国の調査が救済につながるのか?次世代健康影響調査の結果は、2023年6月に公表される予定です。
参照元：https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/225407?display=1
カネミ油症事件の昔と今【みなさんの声】
村八分。
最初から障害がわかっていて
生まれてくる子供本人の思いと
生む親側のエゴ
エゴというと響きが悪いけど
どうなんだろうか
本人にはなんの責任もないし、ひどすぎるよ。
永遠と遺伝的に後遺症が続くなら子どもは作らない方が良い
責任の所在をはっきりさせないよね企業は
そうしてチッソとかよく潰れずにいるよ
いったいどういうカラクリなんだろなぁ
油と関係あるのでしょうか…
主婦としては適度な節約は美徳だったろうに、理不尽に責められて…。
嫁を責めなきゃやってられなかったのかもしれないけどさ…。
知らないで食べたお母さん達ですし、何の罪もないはずです。
この人は事件についてもっとちゃんと勉強した方が良いですな！
被害者である母親を恨むのは筋違いですよ
超能力者や修行を積んだ武術家でもあるまいし事前に「ソレ」に何が混入されているのかなんて察せる人は殆ど居ませんよ？
なんの罪もない人たちが放置されているのはおかしいと思う。
この事を黙って結婚したり子供を作る事は罪だと思う。
本人はなにも悪くないだけに心が痛い。
また、パヨクガー！プロ市民ガー！というが、彼らがいなければこういった事件や公害も簡単に風化させられていただろう。
自分を責める必要はないし、その人を差別する理由もない。
誰もがそう思えれば良いのだが。
ライ病に原爆症に水俣病、そしてこのカネミ油。つい最近も福島がヒドイ差別にあった。これが人間の業なのかな。
森永ヒ素ミルク事件はどうした！
飲んだ人の後遺症は５割を超えているぞ
気の毒としか言いようが無い。
だから結婚相手に打ち明けることが、今の時代より簡単なことではないのはわかる。
ネットもない時代、まさか自分の子に遺伝するということを現実的に理解してた人はいるだろうか。
今の時代は結婚しない人や子を作らない選択をする夫婦がいても、異様に映ることはない。
結婚相手に打ち明けるハードルも昔よりは下がってる。
苦しい選択ではあるが、少なくともお互い納得の上で判断ができる。
少しでもこの病気で苦しむ人が減るよう祈るばかり。
という趣旨の発言があったけど、あまりにも自分のことしか考えていない発言でぞっとした。
これで孫になにか悪影響がでて原因がわからない、原因がわかれば治療ができるかもしれないのに、となってもこの母子はカネミ油症を隠し続け孫を苦しめるのだろうか。
どんな慰めも陳腐になるほどご苦労されたと思います。
相手を巻き込むだろ
この被害はいまだ続くのか・・・
今も､隠れた被害が進行中でないことを願う｡
知らないのは何も考えていない国民のみ。
私は全然関係ない地方の人間ですけど副乳ありますよ。
カネミね。直接会社名を書く事になるので控えたのか？
本来、税金はこういう所に突っ込むもんだと思う…
いつの時代も泣くのは民草ばかりなり。
そして何より子や孫にも症状が出る
せめて自分だけだったらまだ救われた部分があっただろうに
企業の倫理観なんてこんなもん。
そして今、新自由主義の名の元、またこの頃に回帰しつつある。
↑
これはどういう事？この書き方だと副乳がある人は皆んなカネミ油症と結びつけられてしまいますよね。
一般的には知的階級に属する先生すら無知だったわけで。。
これ気をつけないと、ドイツで捕まったクーデター連中のような扇動に簡単にやられてしまう。
自分や親が苦しんだことを、自分の子供にも背負わせるって
パートナーが知らずに産むとか、産むのは女性なのに。
さすがに酷い話だ。
原因不明の体調不良ほど辛いものはない。
現代では、就職で差別されることもないはず。
それにしても何も悪くない被害者に対するいじめの凄まじさには愕然とする。
国も企業もきちんと保証のスキームを作るべき
日本はこう言う保証が薄すぎる
恐ろしいな。
相手が弱者と見るや見境なくえげつないことをする日本人の性。
クールジャパンがどうのとか良い部分ばかりでなく、自分たちの悪い部分も直視することが必要だ。
しかし、何も知らず食べた母親にも産まれた子供にも罪は無い。
米油は､今またブームであるが、製造や商品管理には万全を期して欲しい｡
事件が表沙汰になったとき、我が家は使っていた食用油をその場で全部捨てたと母親が言ってました
目に見える被害は幸い私や家族には出ませんでしたが、被害者の方を思うとやり切れない思いです
この事件は地元のテレビ局では頻繁に報道されていました。
当時は理解できませんでしたが…大人になり知る機会があり非常に難しい問題だと思うようになりました。
私を妊娠していた頃で、カネミ油は値段が高かったから買わなかったと言っていました。
それが事実かはわからないけど、そのくらいの違いでその油が身近に存在していた事に驚いた記憶があります。
買った人も悪くないです！
売っていた企業、会社が全て悪いです！
だから苦しまないでほしいです。
たくさん苦しんできたんだからもう苦しまないでほしいです
いま、生きている人生を大切に、
たくさん幸せなことがありますように。
日本人がいかに周りを気にして噂話が好きでたまらないかがよくわかりますね。
どう考えても悪い油を作った会社のせいなのに。
気持ちはわかりますが、そろそろ気持ちを切り替えて欲しい。
が、正解は調査に参加して負の連鎖を断ち切るよう務めること。
外野の勝手な意見としては何も知らない世代が増えることが不安。調査・治療を継続して欲しい。
たまたま行きつけの飲食店で口にした人も知らぬ間に汚染されたので、被害範囲が不明。
PCB汚染は胎内で子に伝播するので、周りのサポートが無いとお母さんだけが悩み苦しむことになる。という背景を理解してこの記事を読むと色々と考えさせられる。
あれも初めは否定していて大阪大学の医師が真相追求して、15年後に判明しましたが本当に痛ましい事故です。
その後の賠償を含めた対応が迅速で誠意あるものであるべきです。
次世代には差別意識もほとんど無いだろうから、本人たちのためにも、調査にはできるだけ協力してあげてほしい。
あまりにひどい差別を受けたり、当時の世論ではこういう発想になってしまったのだろうか。国は、企業側に責任があると全面的に発表するなどして差別を無くす方向に動いてほしい。企業側も手厚く補償をして欲しい。
子にもその結婚相手にも言いたくないという被害者の方が思ってしまうのは、差別がひどいからでしょう。
それで結果的にまた何も知らずに生まれた罪の無い子が差別などを受けるとしたら、あまりにも酷だと思います。生まれてきた子や孫達にも、補償なりなんなりあってほしい。
法的に無知な被害者に対して、企業側が自社に有利な条件で被害補償を行うなど企業倫理の低さも問題。
和解条件は見直される事なく、新たな患者認定にも消極的でおよそ民主主義国家とは思えない。
現代の倫理や法に基づき、やり直しを求めようにも時効による除斥とされてしまい門前払いの状態。
政治家が新たな法律を作って救済すれば良いものを、何故か与野党とも動かない。
被害者に優しくない国だな、と思う。
しかし味や色が明らかに変だったとか、すぐに強烈な体調不良が出たならまだしも（それでさえ、母親のせいではないが）、まさか普通に売られている食用油に猛毒の成分が混入しているなど、現代でも事が大きくなるまで分かりようがない。
悩み苦しむ母親達には何の落ち度も無い。
責任負うべき人間がしっかりと制裁を受け、被害者が補償と救済を受けられることを願う。
監督官庁からすれば、一本間違えれば、なぜしっかり監督してないんだと担当省庁に火の粉がかかるから、明白な対応をとらないから、デマが拡散し、被害者がさらなる被害を受ける。
コロナの時も変わらない。
今は患者数が増えたが、初期に感染した人はひどい扱いだったという話を聞く。
監督官庁がしっかり説明し、先手を打って、差別や被害者への加害は罪になりますとはっきりアナウンスする必要があると思う。
調査をしたいのなら、守秘義務の徹底と認定後には十分な補償をすることを条件にするとかしないと無理だと思います。
でも、結婚相手に伝えないというのは違うと思います。
以前、強制不妊手術を受けさせられた事を女性に伝えずに結婚し、女性は子どもができない事で自分を責め親族からも冷たくされたそうです。それでも女性側に伝えずにいたという記事をみたことがありました。
↑
これはカウンセリングが必要ですね。
基本的に面倒だっていうのが根底にあるんですが、もし万一、孫ひ孫玄孫まで影響が出た場合。
その際訴訟にするにも、結局は子孫が苦労します。
水俣病もそうで、実際所見ありでも隠そうとする女性は沢山いました。
そして結局認定ではなく、和解で終わってしまいます。
その子孫にも所見あっても、結局は認められる事は有りません。
きちんとした道筋を立てて、責を果たさせることが肝要です。
体から一生排出されないだけでなく、子、孫、と続いていくのかと思うと、ダイオキシンは本当に恐ろしいものなのだとおもった。
安いから、美味しいからといっても、口にするものは本当によく考えないといけないんだなと感じた。
中国で以前、メラミンが粉ミルクに使われていたということがあって驚いたけど、いつ何があるかわからない。
せめて、せめて認定だけは積極的にしてあげて、少しでも救われる人が増えたらと思う。
コメント